こんにちは、ツバサです。
【結婚商売】を紹介させていただきます。
今回は87話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

贅沢な悪妻、ビアンカ・ド・アルノー。
人々に見捨てられ死にかけていたその時、ビアンカは奇跡的に18歳に回帰する。
絶縁したも同然の実家、アルノー伯爵令の人々も私を嫌っている。
孤立した私の立場を見つけるには、後継者が必要だ…。
「あなたの子供を産む準備ができました」
「…その話はあとにしよう」
「私たちの結婚はいくらだったでしょうか。 その代をすると言っているのです」
夫の子供を産まなければ。夫を誘惑してでも、説得してでも。
ビアンカ・ド・アルノー:主人公
ザカリー・ド・アルノー:ビアンカの夫。
イボンヌ:ビアンカの専属使用人。
ソヴール:ザカリーの側近。
ロベル:ザカリーの側近。
ガスパル:ザカリーの側近

87話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 伯爵夫人への対応
翌日、ビアンカは寝坊した。
疲労が重なった上に、起こす人がいなかったからだ。
目覚めたビアンカの全身がズキズキ痛む。
習慣的にイボンヌを呼んだが、答えはない。
その時になってようやくビアンカは昨日のことを思い出した。
ジャコブは幸運であるがトーナメント準決勝に進むほど実力のある騎士。
彼に腕を掴まれただけでもビアンカの肌に青あざができたのだから、そんな男に殴られたイボンヌが元気なはずがない。
ビアンカは素早く起き上がり、枕元の鐘を鳴らす。
彼女が顔だけ知っているメイドが慎重に部屋に入ってきた。
ビアンカより1、2歳下の女中。
「起きたのですね、奥様」
「ええ。イボンヌの体調は?」
イボンヌがどこにいるのか尋ねるのでもなく、イボンヌを心配するビアンカの質問に女中は当惑する。
しかし、もし奥様と接することがあれば、ぐずぐずせず、嘘をつかず、事実通りに話した方がいいというイボンヌの忠告を思い出す。
女中はテキパキと自分が知っている内容を告げた。
「伯爵様のご配慮のおかげで休んでいます。今頃気がついたと思いますが、呼びましょうか?」
「いいえ、どこか怪我はなかった?」
「すみません。私は分からなくて・・・」
「そう」
女中はイボンヌの指示通りにきちんと答えながらも、不安そうにビアンカの顔色を伺う。
主人が質問をし、女中が知らないと答えると、普通は怠け者で愚かだと非難されるのが常だった。
それに昔、ビアンカを担当したという年配の女中たちが彼女のことを気難しくて敏感でたまらないと愚痴をこぼしたこともあったではないか・・・。
けれど、ビアンカはこれといった文句なしに素直に頷いた後、身支度を急ぐだけ。
それで終わり。
内心心配したこととは異なり、ビアンカを担当することが容易になると、女中はやはりイボンヌの言葉が正しかったと思った。
『奥様は本音を表現するのが苦手なだけよ。正道を通って無礼に振る舞わなければ、優しくしてくれるんだから』
そういえば、ビアンカからレースの編み方を学んだ女中たちも、彼女の寛大さを褒めていたではないか。
ビアンカのレースは首都で旋風的な人気を博している。
そんな技術を快く教えてくれるなんて。
もし自分もビアンカの目に入れば良いことが起こるかもしれないと思った幼い女中は、誠心誠意ビアンカの身だしなみを助けた。
身支度を終えたビアンカは、遅い朝食も取らず、すぐにイボンヌのいる部屋に向かった。
ビアンカが部屋を出るやいなや、彼女の部屋の前を守っていたソヴールがサッと追いつく。
「奥様、どこに行くのですか?」
「イボンヌの部屋よ」
イボンヌは侍女なので、ビアンカの宿舎に近い小さな部屋を割り当てられている。
彼女の部屋に着くまで長く掛からなかった。
イボンヌの部屋はビアンカの部屋とは比べ物にならないほど素朴だったが、従者の身分として受けられる最高の待遇だろう。
イボンヌの枕元にはガスパルの姿が。
ビアンカの護衛でソヴールがいた時から推測はしていた。
ビアンカが入ると、ガスパルは席を斜めに外す。
ベッドに横になっていたイボンヌがビアンカを見て体を起こそうとする。
「横になってて」
イボンヌはビアンカを見て微かな笑みを浮かべた。
彼女の頬は青くて紫色に。
ビアンカはイボンヌのベッドの枕元の椅子に座り、何の罪もない唇を噛み締めた。
「ごめんなさい、イボンヌ。私が意地を張ったから・・・」
ビアンカは意気消沈に呟く。
ビアンカがイボンヌに謝ると、一歩後ろに下がっていたソヴールがびっくりして飛び跳ねた。
ガスパルも驚いてビアンカをぼんやりと見つめる。
奥様が謝罪できる人だとは思わなかったからだ。
いざ謝罪を聞く当事者であるイボンヌは、自然に首を横に振った。
「奥様のせいではありません。悪いのは彼らなのですから」
イボンヌの声に力はなかったが、話し方は逞しい。
「少なくとも一人は罪の償ってもらいました。ですが、あの王子様があんな無頼漢だとは全く知りませんでした。奥様は大丈夫ですか?幸いにも伯爵様が来てくれたという話は聞きましたが・・・」
ガスパルが昨日のことについて話してくれたようだ。
ビアンカは、昨日のことをどう包装すべきか頭を転がしてぎこちなく笑う。
「もちろん、私は元気よ。大したことはなかったわ。ただ、あなたが殴られたことについては必ず問い詰めたかったのだけど・・・。昨日の状況が状況だから、どうしても話せなくて・・・」
腕がまだズキズキしていたが、ビアンカはイボンヌの心配を減らすために怪我をしたという事実を隠した。
しかし、その嘘は生半可で、普段、彼女の近くにいたイボンヌの目にはビアンカの嘘が分かった。
「気にしないでください。奥様を救うためだったのですから。私のせいで余計に考えないでください。それと、あの王子様とはなるべく関わらないでほしいです」
「心配しないで。昨日は本当に運がなかっただけだから」
イボンヌの頼みごとにビアンカは頷く。
ただでさえジャコブには近づかないつもりだった。
「これでは奥様のお好きな散歩にも行けません。昨日レースを披露したことで人々が訪ねてきて宿舎が騒がしいのに・・・」
「これからは必ず護衛を連れて通えばいいから大丈夫よ。私が軽率に行動したから・・・。二度と勝手に出ないわ。そういえばガスパル卿、昨日は伯爵様にたくさん怒られたでしょ?ごめんなさい」
「いいえ」
ガスパルは黙々と頭を下げる。
けれど、ビアンカはその言葉をそのまま信じるほど純真ではない。
彼女は苦笑いした。
ガスパルは絶対に違うと言うから、それについてあれこれ言っても答えのない問題だろう。
二度とこんなことがないようにすることが、もっと重要だ。
ビアンカは大きく息を吐きながら首を横に振る。
「私も二度とこんなことがないようにするわ」
ビアンカの肩がだらりと垂れ下がった。
ある意味、今回の首都行きは彼女が「アルノー伯爵夫人」として初めて領地の外に出てものだ。
けれど、初めての旅行がこんな格好なのだから、二度と首都に来る自信がなかった。
実際、考えてみれば首都に来て得たものは多かったが、それ以上の精神的疲労感が彼女を押さえつけている。
ビアンカは布団から抜け出したイボンヌの手の甲を撫でながら付け加えた。
「とにかく早く治ってね。護衛がいても、あなたがいないと散歩する気にならないから」
「早く起きれるように努力します、奥様」
イボンヌはさっきより口元を引き寄せて笑いながら答える。
しかし、依然として片方の口元はそのままだった。
イボンヌがとりあえず無事で良かったです。
もしかしたら、彼女もフェルナンと同じような末路を辿っていたかもしれませんから・・・。




