こんにちは、ツバサです。
【結婚商売】を紹介させていただきます。
今回は86話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

贅沢な悪妻、ビアンカ・ド・アルノー。
人々に見捨てられ死にかけていたその時、ビアンカは奇跡的に18歳に回帰する。
絶縁したも同然の実家、アルノー伯爵令の人々も私を嫌っている。
孤立した私の立場を見つけるには、後継者が必要だ…。
「あなたの子供を産む準備ができました」
「…その話はあとにしよう」
「私たちの結婚はいくらだったでしょうか。 その代をすると言っているのです」
夫の子供を産まなければ。夫を誘惑してでも、説得してでも。
ビアンカ・ド・アルノー:主人公
ザカリー・ド・アルノー:ビアンカの夫。
イボンヌ:ビアンカの専属使用人。
ソヴール:ザカリーの側近。
ロベル:ザカリーの側近。
ガスパル:ザカリーの側近

86話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- ビアンカのお願い
だからといって、ビアンカが今日のことを忘れるという意味ではない。
ビアンカは隣で自分の顔色を伺っていたザカリーの方を向き、彼の腕を掴んだ。
彼女の行動は突然で、それにまだ感情を全て隠すことができなかったザカリーの顔に跡が残った。
瞬きの間に消えた感情の片鱗。
それはビアンカが今感じていることとそれほど変わらない種類のもの。
ビアンカはザカリーを真っ直ぐ見上げ、ハッキリと言った。
「戦争で会ったら、殺してください」
「・・・」
「敵軍の暗殺に見せかけてもいいから」
彼女の声は少し掠れていたが、ハッキリとした意志を持っている。
恨みに揺れる薄緑色の瞳は必死だった。
ザカリーは、おそらくビアンカがジャコブに酷い目にあった怒りのせいだと思うかもしれない。
しかし、ビアンカがジャコブを殺そうとする理由に比べれば、彼女の怒りは比肩もないほど小さく些細なことだった。
もっと未来のために。
いいや、彼女自身の人生のために。
過去であり、未来。
ザカリーの死を完全に彼女から決別させるために。
ビアンカは自分が回帰したのはザカリーを生かすためだと確信した。
それなら尚更、ジャコブとは同じ空を背負って生きていけないのも当然だ。
初めてジャコブと会った時、ビアンカはひょっとして彼がザカリーを暗殺したのではないかという疑惑を抱いていた。
その疑惑は今や確実に。
ジャコブはゴティエ王子が亡くなり王位がほぼ目の前と考えただろうが、ザカリーはアルベル王子を王位に推薦した。
目の当たりの棘と言わざるを得なかっただろう。
だからジャコブがザカリーを殺す前に、ジャコブを先に殺した方がいい。
気持ちだけで言えば、すぐに首都で処理してと言いたかったが、状況が状況なので危険だ。
他国の使臣が来ているのに、王子が暗殺されたという事実は、ややもすると大きな国家的問題に広がりかねないのだから。
あくまで自然に状況を整える必要があった。
だからジャコブが戦場に出た時、彼を殺す。
それだけが問題なく、疑われる確率が低く、最も成功した道だった。
幸いなことに、ジャコブは誇示的で勢いに乗る傾向があるため、たびたび戦争に出場する。
ザカリーはいつも戦場で暮らしている男だから、状況を操作するのはそれほど難しくないだろう。
けれど、ザカリーは政争のために王族の暗殺の試みを考えるほど、ずる賢い男ではなかった。
ゴティエ王子とブランシュフォール伯爵も同様だ。
陰湿な計略をめぐらすのは騎士道に反し、正々堂々としない行為とされていた。
それだけに、彼らは純真で、ジャコブとしては陥れやすかっただろう。
ビアンカはザカリーを見た。
彼は騎士の中の騎士。
それだけに、ビアンカの主張がいかに馬鹿げているかも、名誉を知らない女の我儘と見做されるかもしれないと知っていたが、ビアンカは必ずザカリーを説得するつもりだった。
ジャコブがアラゴンの密偵と密かに会うのを発見したという嘘をついてでも。
しかし、ザカリーはビアンカの複雑な考えとは裏腹に、あまりにも速く素直に答える。
「・・・そうしましょう」
ザカリーの即答に慌てたビアンカが戸惑っている間に、ザカリーはビアンカを引き寄せてベッドに寝かせた。
ザカリーはビアンカと向かい合って横になり、彼女の肩を慰める。
彼の低い声が甘美にビアンカの耳に染み込んだ。
「今日は疲れただろうから、早く寝てください」
ザカリーの態度があまりにも自然で当たり前で、むしろビアンカが曖昧になった。
本当にザカリーはビアンカの言葉を聞き取れたのか、それとも自分が混乱に陥って言ったうわ言として捉え、自分をなだめるための励ましにすぎないのか。
しかし、横になっているからだろうか。
ビアンカの頭がぼうっとなり、疲れと入り混じった眠気が押し寄せてきた。
「必ず・・・、必ずです」
彼女の枯葉色のまつ毛がそっと下がり、すぐに薄緑色の瞳が姿を消す。
そっと開いた真っ赤な唇の間から、均等な息遣いだけが色とりどりに流れ出た。
ザカリーの指がビアンカの頬をくすぐるように掠めたが、彼女はびくともしなかった。
それだけ彼女の疲れが感じられる。
宴会場でもずっと緊張していて、外でもあんなことが起きたのだ・・・。
普段のビアンカの体力を考えると、これまで耐えてきたのが不思議に思えるくらいに。
窓から部屋に流れ込んだ月明かりがビアンカの白い肌を照らす。
白い毛皮に包まれた手足に残っている青いあざが鮮明に現れた。
ビアンカを撫でる指は羽を掃くように柔らかかったが、彼女を眺めるザカリーの目つきは影の闇の中でも輝いている。
ザカリーは眠っているビアンカに囁くように静かに呟いた。
「心配しないで。君が望まなくても、私はあの男を殺すはずだったから」
ビアンカのザカリーへのお願い。
二人の意見が見事に一致しましたね。
首都にいる間、ジャコブはまだ介入してくるのでしょうか?




