こんにちは、ツバサです。
【結婚商売】を紹介させていただきます。
今回は85話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

贅沢な悪妻、ビアンカ・ド・アルノー。
人々に見捨てられ死にかけていたその時、ビアンカは奇跡的に18歳に回帰する。
絶縁したも同然の実家、アルノー伯爵令の人々も私を嫌っている。
孤立した私の立場を見つけるには、後継者が必要だ…。
「あなたの子供を産む準備ができました」
「…その話はあとにしよう」
「私たちの結婚はいくらだったでしょうか。 その代をすると言っているのです」
夫の子供を産まなければ。夫を誘惑してでも、説得してでも。
ビアンカ・ド・アルノー:主人公
ザカリー・ド・アルノー:ビアンカの夫。
イボンヌ:ビアンカの専属使用人。
ソヴール:ザカリーの側近。
ロベル:ザカリーの側近。
ガスパル:ザカリーの側近

85話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 敵対感
ザカリーの大きな歩幅で大股で歩いていくと、ビアンカの快適なベッドがある宿まではすぐだった。
ビアンカをベッドにそっと置いたザカリーは、彼女の前に片膝をついて座り、ビアンカの顔色を伺う。
青ざめた顔は氷のようだ。
ビアンカはぼんやりとした表情で呟くように囁く。
「洗いたいです」
「少々お待ちください」
ザカリーはすぐに侍従と女中を呼び、ビアンカが入浴する準備をさせた。
イボンヌが席にいないだけに準備が遅く、足りない点は多い。
ビアンカは好きなお風呂の温度より熱かったし、用意された香油はよく使っていたバラの花香油ではなく、スミレ香油だった。
普段なら一言言ってまた準備させただろうが、今のビアンカにはそのようなことを指摘する余力さえ残っていない。
体にくっつくように残っている男たちの手垢を消すために、ビアンカは体に何度もお湯をかけた。
ビアンカは白い毛皮だけを身に纏ったまま浴槽を出る。
カーテン越しに待っていたザカリーは、すぐ近づいてきて彼女をエスコートした。
手を握れば壊れるかのように、ザカリーはビアンカを慎重に運んだ。
ザカリーの手に引かれてベッドに向かったビアンカは、ベッドに座っても依然としてぼうっとしていた。
焦点が妙に合わない瞳。
毛皮の下に現れた柔らかい女体に残っている昨日の痕跡は、このような状況にもかかわらず、ザカリーのお腹の奥深くを揺れ動かした。
しかし、ザカリーをびくともさせなかったのは、まさにビアンカの白い肌に染み込んだ青いあざ。
まるで強く絞ったように、彼女の腕を染めたあざの跡を見つけたザカリーの顔が無惨に歪んだ。
「ビアンカ」
「鳥肌が立ちます、あの男」
ビアンカが呟く。
彼女の唇がカタカタと流れ出た空虚な声には、まだ消せなかった恐怖が残っていた。
ジャコブが何をしたから、何がそんなに彼女を怖がらせたのだろうか。
ザカリーの固く閉ざされた唇の下で歯が割れる。
ビアンカは肩を包んでいる毛皮を掴んだ。
怯えていると勘違いされているのとは違って、実際のビアンカは悔しくて耐えられなかった。
相手に振り回される屈辱には慣れていなかったし、慣れたくもない。
前世でアルノー家から追い出された時のゾッとした記憶が浮かぶ。
必死に善処を求めたが、彼女の主張は価値がないまま、言葉がバラバラに乱された無力さ・・・。
結局、ビアンカは無力にアルノー家から追い出されてしまい、その後彼女はどこからも尊重され愛されることができないまま、気難しい女扱いを受けながら彷徨っていた。
誰もが彼女を排斥した。
それでも修道院で彼女を受け入れてくれたのが幸いだ。
ビアンカは、それが全て身分のせいだと思っている。
彼女がアルノー伯爵夫人だった時は、そのような扱いを受けたことがないから。
それで16歳に戻った時、ビアンカは今のこの身分を手放さないと固く誓った。
決して、どんなことがあっても・・・。
そんな彼女にとってジャコブが喜ばしい存在であるはずがない。
思えば前世で彼女からアルノー家を奪ったのもジャコブだ。
そんな彼が現生でも邪魔だなんて・・・。
もしビアンカが自分の生存だけを考えていたら、また違ったかもしれない。
何といってもジャコブは過去で王になる男だったから。
死ぬかもしれないザカリーにだけ走るよりは、政治的に考えればジャコブとまともな関係を結ぶのも悪くなかった。
しかし、ビアンカにも折れないプライドがある。
そして彼女はジャコブという男の性情を知った。
今は自分に執拗に振る舞っているが、それはザカリーに対する競争心と劣等感、そして自分に対する執着にすぎない。
ビアンカがジャコブの提案に簡単に応じていたら、彼はすぐに自分に興味を失うだろう。
すでにジャコブに弱点を握られているビアンカは、彼の顔色を伺って戦々恐々とするだろうし、ジャコブは適切な時期にビアンカを手放すに違いない。
あらゆる醜聞まで載せて。
ビアンカはそうなりたくもなく、ジャコブの機嫌をとりながら暮らしたくもなかった。
そして何よりもビアンカをザカリーを愛するようになってしまった。
だからジャコブの求愛は、ただ厄介なだけ・・・。
今日のことで確信した。
ジャコブは厄介なことを超えて、彼女の人生にいてはならない者だと。
彼に初めて会った時から徐々に這い上がってきた不快感が全身を侵食する。
鮮明な敵対感。
彼を自分の人生から排除しなければならないという強烈な感覚。
それは実際に彼女が復讐を誓ったウィグ子爵やフェルナンなどに直面した時よりもさらに激しいもの。
まるで不倶戴天の仇のように・・・。
実際、前世の恋人で敵だったとはいえ、フェルナンの死に対する衝撃は小さい。
ジャコブが殺さなければ、結局自分が殺していただろうから。
そもそもビアンカは結果さえ上手くいけばいいという主義で、直接する復讐などにそれほど大きな価値を置いていない。
ジャコブに関することも同様だった。
彼を片付けることさえできれば、ビアンカがあえて手をくだす必要はない。
ただ問題は、彼は気軽に誰も手を出せない高貴な身分だということ。
(王子じゃなかったら・・・)
ビアンカは唇を噛み締めた。
いくら王がゴティエ王子を好きだとしても、ジャコブが嫌いなわけではない。
ジャコブは十分に王の面を立ててくれる息子であり、王はそれだけの関心と報いを与えた。
ゴティエ王子も王とあまり差はない。
静寂であるにもかかわらず、ジャコブに対する時、放漫だという点でさらにゾッとする。
彼は自分に王位が与えられることを確信しすぎたのだ。
寛大な兄のふりをして好人のふりをしたおかげで、結局彼は王冠に頭をかぶることも出来ないまま弟の手で死ぬことになった。
ジャコブを強制できる二人があのようだから、今日のことを公論化しても特別なことはないだろう。
ジャコブが本当にビアンカを恐喝したわけでもなく、ただのいざこざと称される状況だった。
ザカリーが忠臣であり、英雄とはいえ、たかがこのようなことで王家がジャコブを罰するはずがないということをビアンカは理解している。
むしろビアンカが行動の乱れを追及されるだろう。
なぜその時間に侍女と二人きりで庭に行ったのか、フェルナンとはどんな仲だったのかなど。
こんなことは、いつも女性に不利に流れるものだ。
宮廷恋愛とかレディーを崇拝すると言っても結局本質は同じだった。
性欲に満ちた肉体の恍惚感であれ、自我陶酔的な精神の高揚感であれ、甘い言葉で自分の欲を満たすことまでが男たちの関心事なのだから。
彼女が望む結果が得られないなら、そもそも混乱を起こさない方が賢明だろう。
訳もなく名誉が削られるだけだ。
ビアンカは予想以上にジャコブを敵と認識しているのですね。
彼女がこのまま黙っているとは思いませんし、ザカリーも同じ考えでしょう。




