こんにちは、ツバサです。
【結婚商売】を紹介させていただきます。
今回は83話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

贅沢な悪妻、ビアンカ・ド・アルノー。
人々に見捨てられ死にかけていたその時、ビアンカは奇跡的に18歳に回帰する。
絶縁したも同然の実家、アルノー伯爵令の人々も私を嫌っている。
孤立した私の立場を見つけるには、後継者が必要だ…。
「あなたの子供を産む準備ができました」
「…その話はあとにしよう」
「私たちの結婚はいくらだったでしょうか。 その代をすると言っているのです」
夫の子供を産まなければ。夫を誘惑してでも、説得してでも。
ビアンカ・ド・アルノー:主人公
ザカリー・ド・アルノー:ビアンカの夫。
イボンヌ:ビアンカの専属使用人。
ソヴール:ザカリーの側近。
ロベル:ザカリーの側近。
ガスパル:ザカリーの側近

83話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 守ろうとする男と、奪おうとする男
ビアンカを抱きしめたままザカリーと対峙していたジャコブは、ザカリーだけでなく他の部族長たちまで加勢すると、低く舌打ちをした。
その一瞬の隙を狙い、ビアンカは力を入れてジャコブの腕を引き剥がし、ザカリーに向かって走る。
ザカリーはすぐにビアンカの肩を自分の方に引き寄せて、胸に隠すように抱きしめた。
ザカリーの腰を抱きしめたまま、彼の胸に顔を埋めてから、ビアンカはまともに息をすることができた。
彼女は首を曲げてジャコブを睨む。
ビアンカと目が合ったジャコブの目つきが曲がる。
涙が溢れたのが嘘のように滑らかな顔は、フェルナンを殺して自分を嘲弄した当時の姿と差がなかった。
くるりと変わる表情からは一体どちらが本気なのか分からない。
ビアンカを抱きしめたザカリーが口を開く。
「王子様が何をしているのか言い訳をしなければなりませんね」
「言い訳?違うね。君は私に感謝しなければならない、アルノー伯爵」
ビアンカを強制的に脅そうとした現場がバレたにもかかわらず、ジャコブは自然体だった。
ここが首都であり、英雄であるザカリーが王族である自分を殺害しないという信頼のためだろうか。
「あなたの妻がただの吟遊詩人なんかと戯れようとするのを防いだというのに」
そう言って、ジャコブはフェルナンのしたいを指差す。
ビアンカは思わずフェルナンの死体に向かって首を向けたが、ザカリーが一歩先に彼女の視野を隠した。
彼女の視線の先にあんな酷いものを置けないという彼の強い意志が感じられた。
ビアンカはジャコブを睨んだ。
死者は無口だが、生きた者の口まで塞ぐことはできない。
しかもそれが当事者なら、なおさら。
ビアンカは拳をギュッと握る。
手は震えていたが、幸いにも声まで震えていなかった。
「それが王子様の戯れを正当化してくれるわけではありません。私の侍女にまで手を出すなんて」
「君が戯れたと感じたなら謝るよ、ビアンカ」
しなやかにビアンカの名前を呼びながら、それとなく言い方が不快だった。
ビアンカの肩に触れているザカリーの腕が張り裂けそうに膨らむ。
歯が食いしばられ、ひび割れる音が聞こえた。
ビアンカがあえて頭を上げてザカリーを眺めなくても、彼がどれほど怒っているかを感じる。
ジャコブの態度に怒ったのはビアンカも同じだ。
相手が王子なので、露骨に悪口を言えないのが残念だったビアンカは、皮肉ることで自分の不快感を表す。
「私に了解を得ずに無闇に名前を呼ぶのも同じです。王子様がこんなに礼儀の知らない方だと初めて知りました」
「それなら、了解を求めたら許してくれるのかい?」
「いいえ」
ビアンカは断固として断った。
余地さえないほど冷静な返事に、クスクス笑っていたジャコブの顔が固まる。
その滑稽な姿はとても痛快だったが、それでも彼女の心は解けない。
それほど今回のことはゾッとしたのだ。
手の施しようのない無力さ。
彼女がどれだけ大声で叫んで主張しても気にせずに力で押してしまうフェルナンとジャコブの行動にあまりにも鳥肌が立った。
今このように断ることが通用するのは、自分のそばにザカリーがいるからだろう。
対話の通じない相手。
先のことを思い浮かべたビアンカは小さく身震いした。
体の震えはしばらく経っても治らない。
ジャコブと顔を合わせることさえ嫌だったビアンカは、ザカリーの袖を引っ張り、疲れに満ちた声で話した。
「帰りましょう、旦那様。疲れました」
「・・・」
このまま退くのが気に入らなかったザカリーは、ビアンカの手振りにびくともせずジャコブを睨む。
二人の男の視線がぶつかる。
ビアンカを守ろうとする男と、ビアンカを奪おうとする男。
決して両立できない二人の存在の勢いがますます鋭くなった。
「旦那様」
ビアンカが再び引っ張ると、ザカリーは勝てないように彼女の手に引かれてゆっくりと振り向く。
それがまるで持っている者の余裕に感じられたジャコブの腹がパッと燃え上がった。
ジャコブは彼らの後ろで大声で叫ぶ。
「私はあなたを諦めない、ビアンカ!」
ジャコブがそう言うやいなや、ザカリーが立ち止まる。
あからさまに人の妻に求愛することは、ザカリーを完全に無視する仕打ち。
それと同時に、ビアンカを簡単な女性扱いするのと同じだった。
怒っていたビアンカが何かを言おうとしたが、頭上から流れ出る寒気に体が固まってしまう。
ザカリーを見上げることさえ考えられなかったビアンカの顔が白くなる。
以前と違って彼の顔にかなり慣れたとはいえ、怒った時だけは相変わらず怖かった。
その怒りが彼女ではなく他人に向けられたとしても。
ゆっくりと後ろを向いたザカリーの両目が形作られていた。
揺れることなく大きく開いた二つの瞳は、ジャコブを貫くようだ。
彼の視線には力があった。
強者が弱者を、猛獣が草食動物を一気に制する力。
オオカミに出会ったウサギのように、ザカリーの唇が徐々に開く間、ジャコブは思わず息を止めてしまった。
ザカリーの口が開き、鉄の音が混じった囁きが流れる。
グッと押さえた声は囁くように静かだったが、聞き間違えたと勘違いすることさえできないほどハッキリしていて、重厚だった。
「弱い犬がよく吠えると言うのは少し陳腐な表現ではありますが、たまには陳腐な表現が核心を貫くことがあります」
弱い犬が誰を指すかは明らかだ。
ジャコブがあえて王族を侮辱するのかと叫ぼうとした瞬間、ザカリーの続く言葉が彼の言葉を遮る。
「戦争ではよく吠える犬が先に死んだりします。殿下は、もう少し吠えない必要があるでしょう」
皮肉な言い方には敵意がこもっていた。
ザカリーは向きを変えて庭を出ていく。
ガスパルもまた、正気ではないイボンヌを抱いて黙々とその後を追った。
イボンヌに手を打ったのがジャコブだという事実を知ったガスパルの目がしばらく、彼に釘を刺したように固定される。
夜空に似た濃い青色の瞳に隠された低く沸く怒りは、あっという間にその姿を隠して存在さえ悟ることが容易ではなかった。
堂々とビアンカを奪う宣言をしたジャコブ。
ザカリーがここまで怒りを露わにするのは珍しいのではないのでしょうか。
とにかくビアンカとイボンヌが無事で良かったです。




