こんにちは、ツバサです。
【結婚商売】を紹介させていただきます。
今回は59話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

贅沢な悪妻、ビアンカ・ド・アルノー。
人々に見捨てられ死にかけていたその時、ビアンカは奇跡的に18歳に回帰する。
絶縁したも同然の実家、アルノー伯爵令の人々も私を嫌っている。
孤立した私の立場を見つけるには、後継者が必要だ…。
「あなたの子供を産む準備ができました」
「…その話はあとにしよう」
「私たちの結婚はいくらだったでしょうか。 その代をすると言っているのです」
夫の子供を産まなければ。夫を誘惑してでも、説得してでも。
ビアンカ・ド・アルノー:主人公
ザカリー・ド・アルノー:ビアンカの夫。
イボンヌ:ビアンカの専属使用人。
ソヴール:ザカリーの側近。
ロベル:ザカリーの側近。
ガスパル:ザカリーの側近

59話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 翌朝
ビアンカはゆっくりと息を吐く。
体も心も満足し許容値を超過した。
疲れた彼女のまぶたに眠気が走る。
ザカリーは、うとうとし始めたビアンカの顔にキスをし、抱きしめたまま囁いた。
「ビアンカ・・・」
ザカリーの息遣いがビアンカの頬をくすぐる。
彼女は目を開けようとしたが、それは容易ではなかった。
意識が上下する浮き輪のように揺れる。
ビアンカの答えを望んでいなかったのか、ザカリーは独り言のように呟いた。
「私がいくら空気を読めなくても、あなたが私のことをあまり好きではないということくらいは知っている」
多分、私は旦那様が思っているよりもっと旦那様が好きだと思います。
ビアンカは静かに答える。
しかし、唇を動かしても、薄い息が漏れるだけで、ザカリーが聞ける答えにはならなかった。
ビアンカの答えを聞くことができなかったザカリーは独り言を続けた。
「けれど、私は、あなたに心から熱意と誠意を尽くす。あなたが望むことは何でもする。道化師の真似をしろと言われたら、私は喜んで真似をする。だから・・・」
だから私を捨てないでくれ。
私のことを好きになってほしい。
けれど、ザカリーはどうしても後の言葉を継げなかった。
自尊心のためではない。
そんなものは、そもそも存在しないのだから。
ただ、自分がどれだけ努力したとしても、それがビアンカにとって砂粒ほどの価値もないということを、どうしても目を開けて確認することができなかったのだ。
自分がこんなに弱い男だとは彼自身も知らなかった。
今、自分が吐き出した言葉は、ただ雰囲気に酔って使う酒酔いに他ならない。
自らを鋭く非難したザカリーは、唇をギュッと閉じた。
幸いなことに、彼は言葉を沈黙で収拾することに自信がある。
続いていた言葉が途絶えると、ビアンカはその後を推察しようと努力した。
だが、全く見当がつかず、眠気がぬかるように押し寄せてきた。
正気に戻ろうともがく彼女の努力は、虚しいほどに彼女をあっという間に侵食していく。
そのようにして、二人は「あなた」とお互いを呼べる関係になり、初めて同じベッドで眠りについた。
けれど、依然としてお互いの考えは違っている。
多くのことが入れ替わった中で、それだけは変わりがなかった。
翌朝遅く、イボンヌはいつものようにビアンカの朝の世話をするために彼女の部屋に向かった。
ビアンカが朝、喉を潤すワイン一杯と洗顔する水、顔を整えるものがイボンヌの胸に抱えられている。
今夜はトーナメントの勝利を祝う宴会があるだけに、やるべきことが多かった。
部屋の中に入ったイボンヌが頭を上げるやいなや、彼女はベッドに横になっているザカリーと目が合う。
昨夜、彼らの伯爵夫妻は同室する予定であることを事前に知っていた。
けれど、見慣れた空間で見知らぬ人に向き合った瞬間、ビックリすることだけは仕方がないだろう。
特に、その見知らぬ人が半分裸の伯爵様なら尚更だ。
ベッドに横になったザカリーはイボンヌをチラリと見て、再びビアンカに視線を向ける。
寝返りを打って唸るビアンカを眺める彼の口元がニッコリと曲線を描いた。
その一方で、どうしても触ってみることはできないのか、手は置いたままじっと眺めているだけだった。
イボンヌは戸惑いを和らげ、静かにビアンカの起床準備を始める。
同室する予定だということで、それに伴う準備はしていたが、正直信じられなかった。
あまりにも突然のことだったからだ。
首都に来てから、ザカリーとビアンカの距離がグッと縮まった。
それにしても、これまでびくともしない距離を置いてきた歳月があったはずではないか。
徐々に段階を踏んでいくと予想していただけに、今回のことは気持ちの良い出来事だ。
自分が仕える主人の仲が良くて悪いことはないのだから。
おそらく、ヴァンサンが首都に一緒に来ていたら、今の状況を両手を挙げて歓呼したに違いない。
イボンヌは舌を巻いた。
イボンヌがビアンカの起床準備を終える頃、彼女はピッタリと目を覚ました。
ビアンカがイボンヌに合わせたのか、イボンヌがビアンカに合わせたのか区別がつかないほど完璧なタイミングで。
ビアンカは朝の日差しに目を擦って、眠気に満ちた声で尋ねる。
「・・・イボンヌ?」
「はい、奥様。起きられましたか?」
「うん・・・」
ビアンカは欠伸をして瞬きをした。
そんな彼女の視野いっぱいの男性のしっかりとした胸元が入ってくる。
彼女はビックリして席から飛び起きた。
一晩中赤裸々な情事の名残が詰まったベッド。
その上にいる裸の二人。
白いビアンカの肌には、昨日ザカリーが何度もキスをした跡がぎっしり詰まっていた。
ベッドの外でビアンカの朝の準備をしているイボンヌは、慌てて自分を見つめ、ベッドにはザカリーがやや困惑した様子で自分の顔色を伺っている。
うん、そうだよ。
私は昨日、彼と寝たんだ。
起きたばかりなので頭がまともに回っていなかった。
昨日のことを思い出したビアンカは、すぐに余裕を取り戻す。
「ビアンカ・・・?」
「大丈夫です。ただ、他人と一緒に寝ることに慣れていないだけなので。驚かせてしまったら、ごめんなさい」
「大丈夫です。慣れればいいのだから」
ザカリーは無愛想に反応したが、彼の声には露骨な安堵感が漂っていた。
確かに、初日の夜を過ごした花嫁が翌朝ビックリしたら、気を揉むのも仕方がないだろう。
ビアンカはニッコリと笑いながらイボンヌから渡されたワインで口を潤した。
昨日、ザカリーの前で素肌を見せるのを嫌がったのとは違い、イボンヌの前では平気だった。
イボンヌはいつも彼女の世話をし、服の世話と入浴の世話も同じだっただけに当然だろう。
「イボンヌ、お風呂は?」
「用意しておきました、奥様」
ビアンカが望む全てを用意していたイボンヌが素早く答える。
ビアンカは薄いショールを羽織ったまま立ちあがろうとしたが、足がふらふらして再び座り込むしかなかった。
「イボンヌ、助けてもらえる?」
「私が支えよう」




