こんにちは、ツバサです。
【結婚商売】を紹介させていただきます。
今回は５５話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
贅沢な悪妻、ビアンカ・ド・アルノー。
人々に見捨てられ死にかけていたその時、ビアンカは奇跡的に18歳に回帰する。
絶縁したも同然の実家、アルノー伯爵令の人々も私を嫌っている。
孤立した私の立場を見つけるには、後継者が必要だ…。
「あなたの子供を産む準備ができました」
「…その話はあとにしよう」
「私たちの結婚はいくらだったでしょうか。 その代をすると言っているのです」
夫の子供を産まなければ。夫を誘惑してでも、説得してでも。
ビアンカ・ド・アルノー：主人公
ザカリー・ド・アルノー：ビアンカの夫。
イボンヌ：ビアンカの専属使用人。
ソヴール：ザカリーの側近。
ロベル：ザカリーの側近。
ガスパル：ザカリーの側近
５５話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 拒否できない提案
「全部自惚れだった」
低く呟いたザカリーは、そのままビアンカを抱き上げる。
彼女は軽すぎて、簡単に持ち上がった。
一度手綱を逃してしまった欲望は荒々しく走り出す。
解けてしまった種馬の手綱を再び掴むのは容易なことではない。
まして手綱を握らなければならない当事者の理性が飛んでいたのなら尚更だ。
ザカリーの胸に抱かれたビアンカは微動だにせず固まっていた。
彼にこんな風に抱かれるのは初めてではなかったが、だからといって慣れているわけでもない。
ザカリーはビアンカをベッドに注意深く置き、ベッドのクッションが彼女の背中を優しく抱きしめる。
状況は認知したものの、どのように行動すべきかは依然として五里霧中だ。
ビアンカが複雑な頭の中を解決しようとしている間、状況は徐々に進展していた。
ビアンカの上にザカリーの影が落ちる。
身長差のためにいつもザカリーを下から見上げなければならなかったが、今日に限って威圧感がさらに増していた。
ビアンカはゆっくりと呼吸をする。
ザカリーは、そのような彼女の頬を優しく撫でながら低く囁いた。
「拒否したいなら今がチャンスです、ビアンカ。私の頬を強く殴ってください。そうしないと・・・」
優しい手振り。
強烈な威圧感。
ビアンカの心臓は勝手に走り去り、息を引き抜こうとする試みは虚しく散った。
部屋の中の照明がドアの隙間から染み込んできた夜風でしばらく揺れ、ザカリーの顔に影がチラリと垂れ下がる。
しかし、彼の黒い瞳の中に込められた断固さだけは明らかだった。
少し疲れたような掠れた声が、ビアンカの心臓の鼓動の音を突き破って彼女の耳を叩く。
「ビアンカ、私は君を抱くから」
これ以上無視できないほどストレートな言葉。
ビアンカは今までザカリーをベッドに押し倒そうとしていた。
しかし、それは単に後継者のための肉体の結合に過ぎない。
体の相性が良ければ、相手に心まで渡す場合があると言うが、それは他人の場合に過ぎなかった。
ビアンカは、男性との関係であまり感じない方だったから。
痛いだけの関係は、それまで積まれた情までも消してしまう。
だから問題ないと思っていた。
ザカリーに心を譲らない自信があった。
回帰した当時は・・・。
けれど、今は事情が違う。
ビアンカは、今やザカリーを愛している。
この感情の確信が、かえって彼女を混乱に陥れた。
今彼に抱かれてしまえば取り返しがつかないかもしれない。
彼から逃げることができるという確信がなかった。
それと同時に今彼を拒否すれば、２度とこのような機会がないという焦りも同時に押し寄せてくる。
そして、ビアンカが選べる選択肢は決まっていた。
「・・・突然ではありますね。でも大丈夫ですよ」
ザカリーを断れなかったビアンカは、躊躇いを唾と共に飲み込んだ。
頑張って平気なふりをしたが、冷めた指先が震えている。
気持ちとしては逃げたかった。
けれど、彼女には逃げる場所がない。
ザカリーの両腕の間に閉じ込められているからではない。
もし彼がビアンカを自由に動かせるようにしたとしても同じだっただろう。
今この瞬間、席を避けたならば、彼との関係が無期限に延ばされることは目に見えているから。
ザカリーがこのように積極的に乗り出すことは滅多にない。
このような機会は２度と来ないだろう。
一体何が彼に火をつけたのか分からないが、ビアンカはこのチャンスをしっかり掴まなければならなかった。
念願の目標のためにも、突然自覚してしまった片思いのためにも。
ビアンカの答えが芳しくなかったからだろうか。
ザカリーの目が細く折れた。
彼は疑いを隠さずに問い返す。
「私が何をするか分かっていますか？」
「分かってます・・・よ！もう全部習ったと言ったじゃないですか」
ビアンカは虚勢を張ってアゴを上げる。
しかし、焦った気持ちで唇をどれだけ強く噛んだのか、弱い肉に血が滲んだ。
ザカリーはビアンカの唇を指先でそっと拭う。
彼の顔には依然として心配が残っていた。
ビアンカの答えを信じられないという本音が明らかだ。
「今日は・・・、あなたの頼みを始めて断る日になるかもしれない。やめてほしいと言うなら今しかありません」
「私の考えでは、今日になってようやく私の頼みをきちんと聞いてくれると思っています。一体何回尋ねるのですか？私の口から抱いてほしいと言わなければならないのですか？」
勢いよく打ち返したが、ビアンカの顔は真っ赤だろう。
この状況でもこんな反応だなんて。
いや、このような状況だからこそ慎重なのだろうか？
ビアンカの露骨なイライラ混じりの叫びにも、ザカリーは静かに微笑む。
まるで妻が可愛いというような笑顔に、ビアンカの心臓が震えた。
彼女は自分自身を説得するように繰り返す。
あれはただ何の意味もない笑み。
勘違いしたらダメ。
もう振り回されないで・・・。
ビアンカは心の中で切実に叫んだが、実際は何の役にも立たなかった。
ザカリーの一言、一言が彼女を新たに揺さぶったからだ。
「あなたがそうだから、かえって私が心配になってしまう。できるだけ長い間理性を掴もうと努力してみます。どれくらい持ち堪えられるかは分からないけど」
彼が何度も手放さなかった初めての経験を覚えていたビアンカの顔が思索する。
あの時のザカリーは、まるで初めて女性を抱くかのように焦って、荒れていた。
けれど、そのくらいは十分覚悟している。
ビアンカは決然とうなずいた。
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