こんにちは、ツバサです。
【結婚商売】を紹介させていただきます。
今回は54話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

贅沢な悪妻、ビアンカ・ド・アルノー。
人々に見捨てられ死にかけていたその時、ビアンカは奇跡的に18歳に回帰する。
絶縁したも同然の実家、アルノー伯爵令の人々も私を嫌っている。
孤立した私の立場を見つけるには、後継者が必要だ…。
「あなたの子供を産む準備ができました」
「…その話はあとにしよう」
「私たちの結婚はいくらだったでしょうか。 その代をすると言っているのです」
夫の子供を産まなければ。夫を誘惑してでも、説得してでも。
ビアンカ・ド・アルノー:主人公
ザカリー・ド・アルノー:ビアンカの夫。
イボンヌ:ビアンカの専属使用人。
ソヴール:ザカリーの側近。
ロベル:ザカリーの側近。
ガスパル:ザカリーの側近

54話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 「旦那様」と呼んでほしい
「ビアンカ、君を困らせたならごめんなさい」
「特に困惑していません。私たちは夫婦なのだから・・・」
「良かった」
ブツブツ言うビアンカの返事がとても気に入ったのか、ザカリーの口元に笑みが浮かぶ。
一度開いてしまった心は悔しさにもかかわらず、あまりにも簡単に再びドアを開けてくれた。
ビアンカはどうすることもできず、ドキドキする心臓を掴みたい気持ちだった。
これ以上うるさくしないで。
掴んで揺らして落ち着かせることができれば、そうしたい。
そんなビアンカの気持ちは全く分からないようで、ザカリーはビアンカに一歩、一歩近づいていく。
いいや、もしかしたらビアンカの心なんて手のひらを覗くように丸見えかもしれない。
自分を振り回すように、わざと。
彼のアプローチはビアンカを窮地に追い込んだ。
このままだと心臓が張り裂けそうで、だからといって避けることもできない。
「今日、あなたに申し訳ないことが多い」
何がそんなに申し訳ないのか分からないが、近づく距離が縮まることができないまま、彼らの体が届くように近づいた。
腕で腰を抱かれていないにもかかわらず、ビアンカはザカリーに胸に抱かれているような気がする。
ビアンカはそれがぎこちなくて恥ずかしかった。
「あなたに一週間くらいは心の準備をする時間を与えたかったのです。私がもっと年を取った分、大人っぽい姿を見せようとしたのに・・・、あまりにも焦っているのは私も分かっています。しかし、心が熱くなり、これ以上待てないんだ。自慢の私の忍耐力もいよいよ限界です」
ザカリーらしくなく口数が多い。
しかも突拍子もなかった。
一体どんな心の準備をする時間なのだろうか?
無駄に後悔してガッカリしたくなかったビアンカは、必死にザカリーの意図を把握しようと努力した。
彼女の瞳が揺れた瞬間、ビアンカの目の前でびくともしなかったザカリーが腕を伸ばして彼女を抱きしめる。
「伯爵様・・・!」
「旦那様」
ザカリーは優しく断固としてビアンカの言葉を遮る。
「「旦那様」と呼んでほしい」
ザカリーの言葉は相変わらず突拍子もない。
ビアンカは呆然とザカリーを見上げた。
彼の黒い瞳に映った自分の姿は戸惑いで乱れている。
彼女の心臓は大きく鼓動した。
さっきとは違って、接した胸に乗って彼のこの心臓の激しい鼓動が伝わるのではないかと怖くなってしまう。
ザカリーは、そんなビアンカが愛らしいように目を丸くして笑い、ゆっくりとしたペースで静かに、しかし、決して聞き間違えることのないハッキリとした口調で話した。
「もうすぐ、その呼び名を値する関係になるだろうから」
ビアンカは瞬きをした。
そして間もなく、ザカリーが何の意図でそんなことを言い出したのか思い出す。
なぜ「旦那様」と呼ばないのかと聞いていたザカリーに「夫婦関係を結んでいないのに、そんな呼び方で呼べない」と言ったのはビアンカ、まさに彼女自身だ。
「それか名前でも構わない」
ザカリーの不器用な指先がビアンカの唇をなぞる。
まるで、その唇から流れ出る自分の名前を期待するように。
ザカリーの言葉には、もはや錯覚の余地がなかった。
(じゃあ、彼は本当に・・・)
ビアンカの顔が熱くなる。
こんな時はどうすればいいのだろうか。
訳もなく早計して期待して失望するのではないかと心配してわざとそっぽを向いたが、い現実に迫ってくると心の準備ができず唖然とするだけだった。
「ち、ちょっと待って」
「今まで後継者を持とうというあなたの要請を黙殺して申し訳なかった。私は自分が我慢できると信じて疑わなかったのだが・・・」
距離を置こうとするビアンカの試みにも、ザカリーは気にせず、そのまま押し通すように言葉を続ける。
多少強圧的に見える可能性もあるという事実は彼も認めていた。
しかし、今言わなければならない。
堂々とビアンカの前で努めて平然としたふりをしているが、内心、ザカリーの心臓は破裂しそうになって久しい。
血が飛び散る戦場での興奮も、これよりは大人しいはずだ。
他の人は皆光栄だと言うトーナメントの優勝は、ザカリーにとっては、ただビアンカに黄金のバラを渡すための手段に過ぎない。
ビアンカが喜んでくれたらいいな。
黄金のバラを貰う彼女がそっと微笑んだだけで彼は満足した。
しかし、ザカリーの期待とは異なり、彼が黄金のバラを渡すために近づいた時、ビアンカの顔には心配が満ちていた。
薄緑色の瞳に満ちた心配と向き合った瞬間、ザカリーは今までビアンカに礼儀を正すために努力していた忍耐力が粉になって散っていくのを感じたのだ。
(ビアンカも、私のことが少しは好きなのかもしれない)
そう考えると、刺された苦痛よりも、さらに大きな苦痛が彼の心臓を貫いた。
まるで火につけた咽頭で心臓を支えるような熱気。
それは苦痛を超えて甘い苦行。
耳をつんざく人々の歓呼の中で、ビアンカだけが一人だけ輝いている。
ビアンカがキスでもしてと言った瞬間、彼はこれ以上自分が耐えられないという事実に気づく。
馬上試合をしていたときに盛り上がらなかった熱気に火がつき、彼を飲み込んだ。
ザカリーは、ビアンカが18歳になるまで待つ自信がなかった。
いや、今この瞬間を耐えるだけでも大変だった。
自由、責任、尊重・・・。
理性で抑え込んでいた全てが焚き火に燃え盛る蛾のように灰に変わって消えていく。
自分を混乱させる悪魔の囁きだと片付けていたが、今は天使のラッパの音のように恍惚と響いている。
ザカリーは自分は忍耐力があるという自惚れをやめることにした。
そして認めたのだ、自分の傲慢な誤算を。




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