こんにちは、ツバサです。
【結婚商売】を紹介させていただきます。
今回は51話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

贅沢な悪妻、ビアンカ・ド・アルノー。
人々に見捨てられ死にかけていたその時、ビアンカは奇跡的に18歳に回帰する。
絶縁したも同然の実家、アルノー伯爵令の人々も私を嫌っている。
孤立した私の立場を見つけるには、後継者が必要だ…。
「あなたの子供を産む準備ができました」
「…その話はあとにしよう」
「私たちの結婚はいくらだったでしょうか。 その代をすると言っているのです」
夫の子供を産まなければ。夫を誘惑してでも、説得してでも。
ビアンカ・ド・アルノー:主人公
ザカリー・ド・アルノー:ビアンカの夫。
イボンヌ:ビアンカの専属使用人。
ソヴール:ザカリーの側近。
ロベル:ザカリーの側近。
ガスパル:ザカリーの側近

51話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 優勝者
ザカリーとカスティーヤの騎士が競技場に入る。
さっきガスパルと対決した時は二人が似たような体格だったので認知できなかったが、カスティーヤの騎士の体格はすごかった。
ビアンカの心臓が恐ろしく鼓動する。
カスティーヤの騎士の実力が凄いということはガスパルとの試合で感じることができた。
いくらザカリーだとしても危険かもしれない。
トーナメントの負傷で何人も運ばれたのを見ただけに、ビアンカは間違ってザカリーが怪我をしたらどうしようと気が揉んでいた。
それは純粋な心配。
旗手の旗が下りるまでの瞬間が永遠のように長い。
ビアンカは思わずスカートの裾を強く掴んだ。
息さえできないほど緊張した彼女は、目を見開いて彼らが激突する姿を見守った。
二人がますます近づくにつれ、ビアンカの心臓の音が太鼓のように大きくなっていく。
轟音とともに木片が宙に舞う。
人々は波のように立ち上がり、歓呼した。
耳障りな叫び。
どういう状況なのか戸惑ってしまう。
状況を客観的に見ることができなかったビアンカの視線が、反対側の端で馬を止めたザカリーの後ろ姿に向かう。
幸いなことに、彼は怪我をしていないように見えた。
ビアンカは小さく安堵のため息をつく。
そばでソヴールは手を叩いて大騒ぎしていた。
その時になって、ようやくビアンカはザカリーが勝ったという事実に気づく。
「ああ、さすが伯爵様。一本勝ちですね。あのカスティーヤの騎士を一本で勝ち抜くなんて・・・。見た目と違って、ちゃっかりした相手だから槍先の届かない場所に盾を動かしたのに、あの短い時間で槍先の軌道を修正して盾を正確に狙うとは」
「本当に・・・」
ビアンカはうんざりするように首を横に振った。
「2度とトーナメントには参加しないでほしいわ。神経が擦り減って燃え尽きた気分よ」
「伯爵様が常に勝利すると思いますが」
「でも万が一もあるでしょ?」
ビアンカの唇が小さく飛び出す。
ドキッとした心情を隠そうとするかのように普段よりも口数が多い。
まだ心臓がドキドキしている。
そのようなビアンカを眺めるソヴールの唇は、努めて笑いを堪えるように動いていた。
「トーナメント最後の勝者は、アルノー伯爵です!」
人々の歓呼が続いた。
セブランの王が席から立ち上がり、勝者を歓迎する。
予定された結果でも嬉しいようだ。
ザカリーは王のいる壇上に近づき、王から金で飾られた木箱を譲り受けた。
「優勝賞品は、セブランを象徴する黄金のバラです。勝者のアルノー伯爵は兜を脱いで馬から降りて礼儀を正してください」
さっと馬から降りたザカリーが兜を脱ぐ。
乱れた彼の銀髪に日光が当たって輝いている。
勝利したにもかかわらず全く感興のなく、冷酷な表情は北部の冬のようだった。
兜を左脇に抱えたザカリーは、王の前で片膝をつき、右手で心臓を覆って静かに告げた。
「セブランの輝くバラに永遠の太陽が宿ることを」
敬虔に挨拶をしたザカリーは、伝令から黄金のバラの入った箱を渡される。
兜を隣にいたロベルに渡したザカリーは、箱からバラだけを取り出したまま、すぐ馬の上に乗った。
トーナメントの勝者が手に入れた黄金のバラが、勝者の愛する女性に渡される瞬間。
バラを貰う女性は決まっていた。
競技場にいた全員の視線がビアンカに向けられる。
しかし、ビアンカは他人の視線などを気にする余裕がなかった。
視野の端がすべて白く染まった世界で、ザカリーだけがハッキリと見える。
そばでソヴールが何か囁いているが何も聞き取れない。
こんな時はどんな表情をしなければならないのだろうか?
笑うべきかどうか悩んでいたビアンカの頬がぎこちなくピクピクする。
さっきザカリーの試合ですごく緊張していたので顔色は青いだろう。
あまり見栄えの良い顔ではないと思うけど。
ビアンカは懸命に表情を管理しようとした。
しかし、今まで表情管理のような仕事とは全く縁がなかったので、思い通りに表情を管理することができない。
ビアンカの頬が恥ずかしさで熱くなった。
周りの金髪の華やかな女性たちと比べると、もっとくすんで見えるんじゃないのだろうか?
陰気で、暗いし・・・。
今まで気にしたことのないことが気になり始めた。
ビアンカが考えている間にも、ザカリーはどんどん近づいてきていた。
額の上に乱れた銀色の髪に、ポツンとついた汗まで見えるほどの距離だ。
唾をごくりと飲み込んだビアンカは席から立ち上がり、壇上の手すりに近づく。
さっきもザカリーにバラを貰ったが、あの時とは緊張感の次元が違う。
近づいてきたザカリーは、袖にぶら下がっているレースのハンカチを取り出す。
白いハンカチが宙で揺れると、その場にいた女性たちの視線が全てそのハンカチに突き刺さった。
彼らが一度も見たことのない新しいものだ。
女性たちはお互いに、「あれは何?」と耳打ちしている。
ビアンカがザカリーの優勝で黄金のバラを貰うことよりも、あのレースのハンカチが羨ましかった。
ザカリーはハンカチで黄金のバラの茎を掴んでビアンカに渡した。
黄金のバラを受け取ったビアンカの手が震える。
暗闇の中の湖のように穏やかで静かな視線に、ビアンカの心がかえって揺れた。
「あなたのご加護のおかげで勝つことができました」
「・・・ソヴールが言うには、伯爵様が勝つのは当然だそうです」
緊張しすぎて不遜な言葉を吐いてしまった。
慌てたビアンカが性急に付け加える。
「伯爵様の勝利のおかげで、私はこのような栄誉を享受しています」
「最初に君がいなかったら存在しなかった」
「・・・!」
そう語るザカリーの口元が弧線を描いて上がった。
初めて見る濃い笑顔に、慌てたビアンカの言葉が詰まってしまう。
何か言いたいが、言いたい欲望があるだけで、何を言えばいいのか、どう話せばいいのかも分からなかった。
ザカリーの曲がった目つきと、ニッコリとした唇は反則だ。
普段あまり笑わず無愛想なのは彼もビアンカも同じだった。
けれど、ぎこちなく作るビアンカの笑顔とは違い、ザカリーの笑顔は自然で、背後から降り注ぐ太陽の光まで重なり、神聖にさえ見えた。




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