こんにちは、ツバサです。
【結婚商売】を紹介させていただきます。
今回は48話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

贅沢な悪妻、ビアンカ・ド・アルノー。
人々に見捨てられ死にかけていたその時、ビアンカは奇跡的に18歳に回帰する。
絶縁したも同然の実家、アルノー伯爵令の人々も私を嫌っている。
孤立した私の立場を見つけるには、後継者が必要だ…。
「あなたの子供を産む準備ができました」
「…その話はあとにしよう」
「私たちの結婚はいくらだったでしょうか。 その代をすると言っているのです」
夫の子供を産まなければ。夫を誘惑してでも、説得してでも。
ビアンカ・ド・アルノー:主人公
ザカリー・ド・アルノー:ビアンカの夫。
イボンヌ:ビアンカの専属使用人。
ソヴール:ザカリーの側近。
ロベル:ザカリーの側近。
ガスパル:ザカリーの側近

48話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 挑発
ザカリーの尋常でない様子に気づいたのはロベルだけではない。
試合が終わった競技場に水を撒きながら埃を鎮めている間、ジャコブは馬を走らせ、ザカリーのそばに近づき、図々しく話しかけた。
「怖い、怖い。アルノー伯爵の顔だけ見れば、まるで今回の試合で私を殺しそうだね。とても殺伐としている」
「・・・まさか。私があえてそんな考えを抱くと?」
「それならよかった」
ジャコブは肩をすくめてザカリーをチラリと見る。
返事は落ち着いていたが、彼の目は殺意で光っていた。
「殺すつもりがないからといって、あなたを殺さないというわけではない」という目つき。
不純な視線だったが、ジャコブはザカリーの表情まで指摘しなかった。
それ以外にも、ザカリーを挑発する素材は多くあるのだから。
ジャコブはザカリーの口調にもかかわらず、爽やかな笑みを浮かべながら優しく話しかけた。
「さあ、私たちの番だね、アルノー伯爵。お互いに良い試合をしよう。そういえば、君の奥さん・・・、ビアンカと言ったかな?」
「妻の名前を公然と口にしないでいただきたいのですが」
露骨なザカリーの不快感にもかかわらず、ジャコブは退かない。
かえって愉快な笑いを浮かべながらニッコリ笑った。
ジャコブのハンサムな外見が色褪せるほど、彼の笑顔はずるかった。
「そんなに気難しく考えないでくれ。いつも思うけど、君はあまりにも生真面目すぎる。最近は宮廷恋愛が流行っているじゃないか。ゴティエ兄さんさえも他の貴婦人と戯れているのに。君は他の女に話しかけないで、君の妻にも他の男が話しかける姿に我慢できないのかな?」
「・・・他人と私を似たような基準に置くつもりはありません。王子様は王子様で、私は私ですから」
「ビアンカもそう思っているのかな?」
「・・・」
「君がビアンカにバラをあげる気があるなら、私が勝った場合、ビアンカというバラの花を貰おうかな」
宮廷恋愛が公然とはいえ、相手の配偶者を奪うという発言は大変な無礼だ。
ザカリーの雰囲気はさらに沈み、彼の黒い目つきは今にも湧き上がるように熱くなった。
カッとなったロベルが声を上げる。
「言い過ぎです!」
「・・・おお、ロベル卿。そこにいたのか。昨日は馬の上で見たような気がするけど、従者のように下にいて気づかなかったよ。槍を突き合わせた者として無礼を謝ろう。ところでアルノー伯爵は凄いね。あの名誉ある三翼の1人が従者のように振る舞うなんて」
ロベルとザカリーの間を引き裂こうとする意図が露骨を超えて明らかだった。
ここまで来たら、仲違いではなくロベルの機嫌を損ねて騒動を起こそうとする意図に近いだろう。
ロベルもその事実を知っていたので、食いしばられた歯の間から音が漏れた。
「私の名誉は勝利ではなく、伯爵様を補佐することにありますから」
「言葉が上手いね。騎士にしては話が上手のようだ」
騎士として実力がないので、言葉だけでも上手く話さなければならないというような蔑視する口調。
黙って聞いていたザカリーは、ゆっくりとジャコブの方を振り返った。
彼は静かに尋ねる。
「私を挑発するつもりですか?」
「気づくのが遅いね」
「私を挑発する理由がありません。しても結果は変わらないのですから」
青く輝く黒い瞳が、まるで相手を馬鹿だと嘲笑っているような気分にさせる。
ジャコブは怒りそうになったが、一生懸命心を落ち着かせた。
挑発しようとした相手にかえって挑発されたという事実にプライドが傷ついた。
ジャコブは乱れた口元を正し、もう一度微笑む。
しかし、頬を震わせる彼の笑顔は、さっきほど自信満々ではなかった。
「まあ、君が邪悪な感情で興奮でもして弱点が明らかになれば、私としては得だからね」
「・・・王子様は騎士にしてはあまりにも口数が多いのですね。騎士というには経験が足りないからでしょうか」
らしくない皮肉を言うザカリーの姿は不慣れだったため、ジャコブはもちろん、ロベルまで口を開いた。
ザカリーは、いつも言葉より行動で見せるタイプであり、そのため、最小限の発言の中で彼が望む意図を読み取るために、ロベルをはじめとする騎士たちがどれほど苦労したか。
ジャコブはザカリーが先ほどロベルに言った自分の言葉を引用されたことを悟った。
彼の顔が歪む。
ジャコブに一発食らわせたが、ザカリーの顔は微動だにしていない。
ザカリーは瞬きをしてジャコブを見る。
彼の声はまるで耳元で囁くように静かだったが、少なくともジャコブにはハッキリと聞こえた。
「信仰も思想も恨みも、騎士は槍の先で言うだけです」
その通りだった。
騎士は全てを行動で示さなければならない。
それは愛も同じだ。
ザカリーは舌先に毒を含んだ流麗な言葉も、蜂蜜のような甘い押しの才能もなかった。
彼に出来ることは、ひたすらビアンカのために出来ることをするだけ。
ジャコブといざこざをするのは意味のないこと。
その後、ザカリーはすぐに馬を走らせて競技場に向かった。
それでも状況をいち早く悟ったロベルはニッコリ笑ってジャコブを横目で見て、槍を持ってザカリーの後を追う。
1人残されたジャコブの表情は固い。
いつものようにしなやかな態度で余裕を見せるのではなく、真剣な表情は厳しかった。
全てのことが上手くいっていないので気が引けた。
その中でも一番腹が立つのは、これからの試合で自分がザカリーに勝つ確率がほぼ0に近いということだ。
もちろんザカリーに敗北するということを当初から考慮して出た試合ではあるが、直ちにザカリーに言われた直後だったので、さらに熱が伸びてしまった。
ジャコブがあえてトーナメントに参加した理由は非常に多い。
自分がトーナメントで活躍する姿を国王に見せて肯定的なイメージを図り、ビアンカにバラを渡しながら自分の気持ちを密かに告白し・・・。
準決勝まで進んだので国王にアピールしようという思惑は十分に達成し、国王も自分の活躍を喜んでいる。
しかし、ビアンカは自分のバラをあまり好んでいなかった。
もしかしたら恥ずかしがっているのかもしれない。
見たところ、外聞は男の接近を目に見えて歓迎するほどの性格ではなかったようだから。
それでも10回切っても倒れない木はない。
今日は負けたとしても、まだパーティーが残っている・・・。
とりあえずトーナメントで十分に彼女に近づいたのだから、パーティーで木を切ればいい。
そのように彼女を崩せば、今日の屈辱も一緒に返せるだろう。
そのようにザカリーの後ろをしばらく睨んでいたジャコブは、歯を食いしばったまま言葉に拍車をかけた。
悪意に満ちた青い目つきが輝いている。




https://sub.tsubasa-cham.com/the-secret-of-the-hourglass-matome/
