こんにちは、ツバサです。
【結婚商売】を紹介させていただきます。
今回は44話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
贅沢な悪妻、ビアンカ・ド・アルノー。
人々に見捨てられ死にかけていたその時、ビアンカは奇跡的に18歳に回帰する。
絶縁したも同然の実家、アルノー伯爵令の人々も私を嫌っている。
孤立した私の立場を見つけるには、後継者が必要だ…。
「あなたの子供を産む準備ができました」
「…その話はあとにしよう」
「私たちの結婚はいくらだったでしょうか。 その代をすると言っているのです」
夫の子供を産まなければ。夫を誘惑してでも、説得してでも。
ビアンカ・ド・アルノー:主人公
ザカリー・ド・アルノー:ビアンカの夫。
イボンヌ:ビアンカの専属使用人。
ソヴール:ザカリーの側近。
ロベル:ザカリーの側近。
ガスパル:ザカリーの側近
44話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 今の生活
「奥様・・・」
イボンヌは感激したかのように言葉を濁した。
ビアンカはそう言ったが、イボンヌはガスパルを嫌っていることはないだろう。
ただ自分にこんなことが起こるとは思わなかったので混乱しているだけだ。
考えてみれば、ガスパルはずっとイボンヌに好意を抱いている。
最初はビアンカの侍女にまで待遇する彼の態度を騎士らしいと思ったが、彼の親切さは全てイボンヌに対する好感のためだ。
ガスパルは騎士の家系であり、イボンヌが好意を抱いているなら、結婚相手として悪くないはず。
おそらく言い争いながらも豊かに暮らすだろう。
ガスパルは口数が足りないだけに、一度口にした言葉を撤回しない粘り強い男であり、そんな彼が大衆の前で告白したということは、イボンヌが本当に好きだという意味だった。
ただ、ザカリーの側近であるだけに、戦争のために頻繁に家を空けるのが欠点ではあるが。
戦争でいつ死ぬかもしれない男と結婚しろと背中を押すのもちょっとあれだし・・・。
その瞬間、ビアンカの頭がピンと鳴った。
まるで鐘を頭にかぶせたまま強く叩きつけたかのように、頭が振動して耳元がざわめく。
彼女の顔は真っ青になった。
ビアンカの目標は、無事に生き延び、この裕福な人生を続けることだ。
彼女の目標に周囲の人はいなかった。
お父さんとお兄さん、イボンヌ、ガスパル、ソヴール、ロベル・・・、そしてご主人までも。
ひたすら彼女一人だけの安危だけだった。
過去に戻ってきたビアンカに残ったのは毒気だけで、自分一人だけ生き残ればいいと思っていた。
けれど、時間が経つほど毒気と復讐心は抜け、今の安楽さが彼女を鈍らせていたのだ。
ビアンカは今の生活にとても満足していた。
ザカリーは自分に嫌なことを言わず、イボンヌは自分の面倒をよく見てくれている。
父親との歪んだ関係も回復し、彼女は自分が望むことは何でもできた。
全てが完璧だった。
しかし、ビアンカの夫婦生活は終わりが決まった関係。
ザカリーに乗馬を習った瞬間、ふらつく体を支えてくれる心強い腕、自分を見つめるように凝視する黒い瞳、バラを渡された時の震える手・・・。
その全てが愛しかった。
「後継者さえ持てるなら、夫は死んでも構わない」とキッパリ突き放すには、彼と彼女の間の隙間に思い出という蝋が流れ込み、間を埋めてしまったのだ。
いつからだったのだろうか。
もうビアンカはザカリーが死んでも構わないと無闇に言えなくなっていた。
未来に対する考えを無意識に先送りするほど、考えることさえゾッとした。
この恐ろしさから抜け出す方法は二つしかない。
今からでもなんとかしてザカリーから情を断つ。
それとも・・・。
「奥様?大丈夫ですか?」
イボンヌは、突然真っ青になったまま沈黙するビアンカを心配そうに眺めた。
ビアンカは混乱した頭を片づけるために言い訳をしてイボンヌを追い出そうとする。
ニッコリ笑う笑みは平然としていたが、彼女の首には冷や汗が一滴流れた。
「今頃は今日の試合も終わったでしょうね。イボンヌ、試合がどうなったのか調べてくれない?」
「・・・はい!誰よりも早く細かく調べてきます!」
イボンヌがニッコリ笑って席を立つ。
伯爵様は当然通過したはずだが、実力のある騎士の間でガスパルが果たして準決勝に進出できるかは未知数だ。
イボンヌは足を速めて部屋の外に出ていく。
興奮を隠せないイボンヌの想起した顔には、まだ幼さが残っていた。
そんな彼女の姿は、憂鬱なビアンカの気分転換になってくれた。
確かに、22歳ならまだ幼いわよね・・・。
17歳の顔をしたビアンカが苦笑いしたまま、イボンヌが去った扉をしばらくの間見守る。
彼女は利口だから、きちんと振る舞うだろう。
ビアンカは自嘲した。
自分が22歳の時を思い出す。
フェルナンに魅せられ、彼が自分の本当の愛の相手だと信じていた子供の時を。
深くため息をつく。
フェルナンとのことで二度と愛を信じないと決めたが、愛していないというだけで覚悟を固めることはできないという事実を後になって悟った。
情というのがこれほどに怖いなんて・・・。
ザカリーの無愛想さに、彼とはいつも事務的な距離を維持できると早く判断してしまったのが過去の誤算だった。
彼の無愛想な優しさは、小雨のように自分の心を濡らしている。
「でもまだ大丈夫。私はザカリーを愛していない。ただ、彼に情が湧いただけよ・・・。だから・・・、だから私は・・・」
ビアンカは独り言を繰り返した。
まるで自分を洗脳するように。
しかし、言い聞かせる声には力がなかった。
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