こんにちは、ツバサです。
【結婚商売】を紹介させていただきます。
今回は41話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

贅沢な悪妻、ビアンカ・ド・アルノー。
人々に見捨てられ死にかけていたその時、ビアンカは奇跡的に18歳に回帰する。
絶縁したも同然の実家、アルノー伯爵令の人々も私を嫌っている。
孤立した私の立場を見つけるには、後継者が必要だ…。
「あなたの子供を産む準備ができました」
「…その話はあとにしよう」
「私たちの結婚はいくらだったでしょうか。 その代をすると言っているのです」
夫の子供を産まなければ。夫を誘惑してでも、説得してでも。
ビアンカ・ド・アルノー:主人公
ザカリー・ド・アルノー:ビアンカの夫。伯爵。

41話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- side ザカリー・ド・アルノー
ザカリーはビアンカの後ろ姿が消えるまで、しばらくテントの入り口に立っていた。
ビアンカが腕に付けてくれたハンカチでなかったら、彼女の訪問を幻想と勘違いしていたかもしれない。
それだけさっきのことは夢の中のことのように信じがたいものだったのだ。
そのようにザカリーがとめどなく先ほどのこを噛み締めていた時、従者の一人が慎重に話しかけてくる。
「伯爵様、まだ準備が残っています。そろそろ仕上げなければなりません」
「・・・そうだね」
やっと気がついたザカリーが目を引く。
彼はテントに戻り、鎧の継ぎ目を綿密に点検した。
騎士が完全武装した時の鎧と兜は砲台程度の重さ。
決して軽くない重さだが、その鎧を一生背負ったザカリーには慣れている。
完全に武装したザカリーは、従者が渡した兜をゆっくりとかぶった。
長く細い隙間から光が徐々に漏れてくる。
遮られた視野、不自然にスッキリしない空気、限られた外部刺激。
ザカリーは外部と有利な鎧の中で大きく息を吸った。
彼の黒い瞳が、闇の中で息を殺したオオカミのように真っ青に輝く。
元々、ザカリーはトーナメントに出場することは滅多になかった。
彼が参加するレベルではないと考えたからだ。
戦場を彷徨うだけで忙しい。
ただ、今回は婚約相手国のカスティヤ王国と微妙な軋轢があり、そのためトーナメントで優勝を奪われることはできないと考えたセブラン王がザカリーを呼んで特別に頼んだのだ。
王が頼みまでしてくるのに断ることもできない。
そして、ちょうどビアンカも一緒に首都に来た状態だった。
ザカリーは社交界についてよく知らないが、恋人や夫がトーナメントに参加してバラを渡す行為がとても羨ましくなるということくらいは知っていた。
自分が優勝することで他の人たちがビアンカに好意的に接するなら、これしきのトーナメントくらいは何度でも出るつもりだったので、ザカリーは王の頼みに快く頷いた。
その時まで、ザカリーは生ぬるい、当然自分のもとに降りてきた仕事を処理しなければならない程度の軽い考えに過ぎなかった。
もちろん、彼はこれまで油断という贅沢な感情とは縁がなく、それはトーナメントも同様だ。
そもそも負ける気も理由もなかったので、ザカリーの優勝は決まっている状態だった。
ビアンカがあえて見に来てくれる必要はなかった。
トーナメントに参加するのは完全に自分の選択であり、彼は自らが選んだ仕事を黙々とやり遂げればいいだけだったから。
しかし、ビアンカが自分の元を訪れてくれた。
自分の試合を見ると言って競技場まで大変な足取りをし、そこからさらに進んで自分を訪ねてハンカチを渡してくれたのだ。
ハンカチを受け取るとは思わなかったので、ザカリーはこの状況を信じることができなかった。
受け取ったハンカチは、まるで彼女のように白く弱そうだ。
しかもビアンカ、彼女の手作り。
彼女が自分のために、ここまで面倒なことをしてくれたということがザカリーを途方もなく追い詰めた。
どうにかしてこの胸がいっぱいになる心をビアンカに伝えたい焦り、彼女に勝利を渡すと誓ったにもかかわらず、足りない渇きにザカリーは拳を握りしめる。
今ザカリーを襲ったのは、必ず勝たなければならないという闘争心だった。
どんな困難な戦争に直面した時よりも強烈な衝動。
「トーナメントに出てほしいと言った王に感謝しなければならないな」
トーナメントに出ていなかったら、ビアンカが自分にハンカチを渡すことはなかったのだから。
兜に隠されたザカリーの唇がピクピクと動く。
込み上げてきた心臓が破裂しそうで、ぎりぎりの水位に達した。
少しの刺激だけでも、そのまま転覆しそうだ。
ザカリーはバランスを取るために、しっかりと手綱を引いた。
「伯爵様。これから伯爵様の出番です」
「そうだね」
ザカリーはテントを出た。
彼の周りに6人の従者が寄り添って彼の世話をする。
2人の従者がザカリーの黒い槍を持っている。
かなり重いのか、2人でも何度もフラフラするほどだ。
ザカリーの黒い馬が鼻息を噴き出す。
馬の上に乗り込んだザカリーは、遠くにある競技場をまっすぐ眺めた。
そこで自分を待っているビアンカの姿を想像するだけも、彼の口が渇く。
果たして彼女はどんな顔で自分を待っているのだろうか?
そういえば、彼女はずっと自分が怪我をするのではないかと心配していた。
今も不安に思っているのだろうか?
体を斜め前に出して、揺れる目つきで・・・。
それともツンとした表情で、あまり気にしていないという表情をしているのかもしれない。
いつものように。
後者の方がビアンカらしかった。
ザカリーの口元に笑みがこぼれる。
本人さえ気づかなかった笑顔は、兜に隠れて誰にも見られなかった。
馬に乗ったザカリーが競技場の端に立つ。
前の試合はジャコブの試合だった。
ジャコブがトーナメントに出ると聞いて、正直少し驚いた。
彼がどれだけ武芸に優れているといっても、ザカリーに匹敵するものではない。
(何を企んでいる?)
しかし、その意図が何なのか見当もつかない。
そのようにザカリーが警戒心のこもった目でジャコブを睨んでいる間に、相手が棄権した。
王族を相手に技量を見せるほど肝の座った騎士ではなかったようだ。
勝利したジャコブが観客席に向かって馬を走らせる。
そして彼がバラをあげる相手は・・・。
ザカリーの顔が歪む。
ジャコブの馬が止まったのがビアンカの前だったからだ。
彼はビアンカとしばらく話をしてから、とうとうビアンカの手にバラを咲かせた。
ザカリーの機敏な視力は困惑しているビアンカの顔を捉えたが、それがザカリーを慰めることはできない。
ジャコブがビアンカに絡んだのは今回が初めてではない。
ザカリーの血が一気に体から抜け出したように、彼の全身が冷たくなった。




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