こんにちは、ツバサです。
【結婚商売】を紹介させていただきます。
今回は180話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

贅沢な悪妻、ビアンカ・ド・アルノー。
人々に見捨てられ死にかけていたその時、ビアンカは奇跡的に18歳に回帰する。
絶縁したも同然の実家、アルノー伯爵令の人々も私を嫌っている。
孤立した私の立場を見つけるには、後継者が必要だ…。
「あなたの子供を産む準備ができました」
「…その話はあとにしよう」
「私たちの結婚はいくらだったでしょうか。 その代をすると言っているのです」
夫の子供を産まなければ。夫を誘惑してでも、説得してでも。
ビアンカ・ド・アルノー:主人公
ザカリー・ド・アルノー:ビアンカの夫。
イボンヌ:ビアンカの専属使用人。
ソヴール:ザカリーの側近。
ロベル:ザカリーの側近。
ガスパル:ザカリーの側近

180話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 正しい道④
ビアンカが再び意識を取り戻したのは翌日の昼。
耳を突く歓声の中で、彼女はゆっくりと瞼を持ち上げる。
「やっと起きましたね、奥様・・・!」
「イボンヌ」
声はすっかり掠れていた。
イボンヌはビアンカは水を欲しがっていることに気づき、すぐに水を手渡す。
水で唇を潤したビアンカは、掠れた声で尋ねた。
「戦争は・・・?戦争はどうなっているの?」
「ジョアサン様とガスパル卿がうまく防いでいます。書簡の内容は、ひとまず口止め命令を下しました」
イボンヌはぎこちなく笑いながら答える。
彼女は静かな口調でビアンカにもう少し休むよう説得する。
「心配しないでゆっくり休んでください。奥様が健康であってこそ、私たちも士気が高まりますので」
しかし、領主の死という大きな話題がいつまで覆われるだろうか?
ザカリーの死が明らかになれば士気に大きな影響があるだろうし、それは敗戦に他ならなかった。
それだけは絶対に駄目だ。
横になっている余裕がなかったビアンカは立ち上がる。
「私が出ないと」
「ダメです!」
しかし、イボンヌが慌てて阻止した。
全身を飛ばしてでもビアンカをベッドに寝かせようとする彼女の勢いに、ビアンカはビックリして瞬きする。
まるで自分が外に出てはいけない理由があるような。
一体部屋の外はどういう状況なのだろうか?
ビアンカは自分の前に立ちはだかったイボンヌに手を振りながらベッドに外に足を伸ばした。
「私は大丈夫だから心配しないで」
しかし、イボンヌは躊躇っている。
まるで何か言いたい事があるかのように。
瞬間、イボンヌの目つきが変わった。
ガッチリと覚悟した表情で、彼女はビアンカの手を引っ張ってベッドに座らせる。
イボンヌの勢いが凄かったので、ビアンカは素直にそれに従う。
「奥様、これから私の話にあまり驚いてはいけません」
「もっと驚くことが残っているの?」
ビアンカが自嘲的に問い返した。
何が起こったとしても、ザカリーの死ほど衝撃的ではないだろう。
すでに彼女は死ぬ覚悟までしたのだから。
イボンヌはそんなビアンカをじっと見つめる。
純朴で善良な瞳は心配と憂慮で満ちていた。
「奥様は・・・、今、一身ではありません」
「え?」
「妊娠されました。奥様のお腹の中にアルノー家の希望が眠っているのです。ですから、奥様は何とか持ち堪えなければなりません。分かりましたか?」
最初は落ち着いて話し始めていたが、最後には涙声になっていた。
イボンヌは嗚咽する。
ビアンカの頭がぼうっとして、彼女はゆっくりと視線を落としたまま、自分のお腹を見下ろす。
この中に彼の子供がいる?
彼女の指先が慎重にお腹に触れた。
いつもと変わらないので中々信じることができない。
「奥様がショックを受けて危険な状況でしたが、それでも赤ちゃんは伯爵様に似ているのか強く耐えてくれました。ですが、本当に気をつけなければなりません。分かりましたか、奥様?気を引き締めてください!奥様だけが私たちの希望なのです」
怒鳴りつける態度は侍女の本分に合わなかったが、それだけイボンヌが必死だということを感じさせた。
ビアンカもまた、突然知った妊娠の事実に気を取り直すのが容易ではなかった。
このような状態で戦場に出るわけにはいかない。
彼女の顔は、依然として魂が抜けたようにぼんやりとしていた。
「何か召し上がってください。食事が大変だと思いますが・・・、それでも奥様の好きな食べ物を持ってきますので」
イボンヌは手の甲で慌てて涙を拭いながら、慌ただしく席を立つ。
彼女が矢のように部屋を抜け出し、一人残ったビアンカはベッドの背もたれに身を寄せる。
「ザカリー、あなたは本当に・・・」
ビアンカは苦笑いする。
ザカリーが出場する前、最後の夜にできた子供なのは明らかだった。
あれほど求めていた後継者。
ところがよりによって、心を全部整理して覚悟した今その存在を知ることになるなんて。
本当に皮肉な話だ。
ビアンカの視線が窓の外に向かう。
今日に限って空がとりわけ青く見えた。
照りつける日差しが明るいのか、ビアンカの目に涙が映る。
もしもう少し、もう少し早く子供ができたらザカリーが子供の名前をつけてくれたのに・・・。
あれほど子供ができることを拒否した彼だったが、子供ができたという事実を聞いたら本当に喜んでいただろう。
ザカリーが喜ぶ姿を想像したビアンカの目元が曇った。
彼女の青白い肌に乗って止まっていた涙が流れ落ちていく。
まるで、ザカリーが死と共に奪った涙を子供と一緒に返してもらったかのように。
ビアンカは押し寄せる疲労に再び目を閉じる。
手放す時はあれほど軽かった人生が、再び捕まえようとすると重すぎた。
ビアンカの妊娠!
このタイミングで知るのは悲しすぎますね・・・。
子供のために、この戦争には勝利して欲しいです。





